自転車でキャンプをしながらの旅、この様なスタイルの旅を始めて、もう10年以上が経ちます。
暑い夏も、寒い冬も、山を登ったり降りたりしながら、ときには雨や雪、強い風にさらされることもあります。野生動物に気をつけながら、自然と一体となる時間を過ごしています。
自分の力ではどうにもできない状況を受け入れること——頭では理解していても、実際には簡単ではありません。正直なところ、旅の60%は辛さが伴い、楽しさを感じるのは40%ほどです。それでも、この40%の楽しさは、誰もが体験できるものではないと感じています。長い上り坂を登りきった先に広がる景色には、言葉にできないほどの感動がありますし、旅の途中で出会う温かい人々との交流は、日常生活ではなかなか得られないものです。
その40%の楽しさをどれだけ心の中に広げていけるか——それが、自分の強さの源となります。そして、60%の辛さの中には、不便さ、不快感も含まれます。そんなときは、頭の中が煩悩で埋め尽くされることもありますが、それでも自転車を漕ぎ続けるうちに、次第に身体の感覚に集中し、湧き上がる感覚をただただ感じるようになります。すると、自然と瞑想的な状態になり、旅を終えて帰るころには、心が穏やかになっていることに気づくのです。それがまた、とても心地よいのです。
だからこそ、また旅に出たくなるのかもしれません。少しずつではありますが、受け入れる力も養われてきたように思います。
日常生活の中では知恵を使い、環境に適応しながら生きます。
しかし、人間も動物である以上、意識的に自然環境に適応する力を養う必要があるのではないかと考えています。
つまり、自然と共に生きること。旅をすることで、その力が培われていくようにも感じます。

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